都道府県別|旅行におすすめ!国内の世界遺産まとめ一覧!

富士山 日本の世界遺産

「国内の世界遺産ってどこにあるの?」
「旅行に行きたいんだけど国内の世界遺産はどうだろうか」

この記事はそんな方に向けて書いています。

旅行に行くのであれば、世界遺産はおすすめです。
なぜなら世界遺産に登録されているのは「他の観光地とは一線を画す」からです。

世界遺産とは、地球の生成と人類の歴史によって生み出され、現在に引き継がれて来たかけがえのない宝物です。
また現代を生きる私たちが、後世に遺すべき大切な遺産でもあります。

2020年1月現在では1121件(文化遺産869件・自然遺産213件・複合遺産39件)の世界遺産が登録されており、日本の世界遺産は23件(文化遺産19件・自然遺産4件)です。

国内23の世界遺産を制覇し年間50回以上国内を旅行する筆者が、都道府県別に日本の世界遺産を紹介していきます。

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  1. 世界遺産とは
  2. 日本の世界遺産(地域別紹介)
    1. 北海道地方
      1. 知床(北海道)
    2. 東北地方
      1. 平泉 ー仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群ー(岩手県)
      2. 白神山地(青森県、秋田県)
    3. 関東地方
      1. 日光の社寺(栃木県)
      2. 小笠原諸島(東京都)
      3. 富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)
      4. ル・コルビュジエの建築作品 -近代建築運動への顕著な貢献ー(東京都)
    4. 中部地方
      1. 白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜県、富山県)
      2. 富士山 -信仰の対象と芸術の源泉ー(山梨県、静岡県)
    5. 近畿地方
      1. 法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)
      2. 姫路城(兵庫県)
      3. 古都京都の文化財(京都府、滋賀県)
      4. 古都奈良の文化財(奈良県)
      5. 紀伊山地の霊場と参詣道(奈良県、和歌山県、三重県)
      6. 百舌鳥・古市古墳群 -古代日本の墳墓群ー(大阪府)
    6. 中国・四国地方
      1. 原爆ドーム(広島県)
      2. 厳島神社(広島県)
      3. 石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県)
    7. 九州・沖縄地方
      1. 琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄県)
      2. 屋久島(鹿児島県)
      3. 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県・山口県・岩手県・静岡県)
      4. 「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県)
      5. 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県・熊本県)
  3. まとめ

世界遺産とは

世界遺産は、地球の生成と人類の歴史によって生み出され、現在まで引き継がれて来たかけがえのない宝物です。世界遺産登録は、過去の歴史を知り、現代を生きる私たちが後世に遺すため大切に保護していくことを目的としています。

世界遺産は、ユネスコ(UNESCO:国際連合教育科学文化機関)により採択された世界遺産条約に基づいて登録されています。

世界遺産条約にはユネスコ加盟国(195か国)のうち、ツバル、ナウル、ソマリアの3か国を除く192か国とバチカン市国が加盟

日本の世界遺産(地域別紹介)

日本も1992年に世界遺産条約を締結し、世界遺産の保存・伝承に貢献してきました。2020年1月現在では日本の世界遺産は23件(文化遺産19件、自然遺産4件)です。

世界遺産を訪ねる際には、必ずその登録理由を調べることをおすすめします。なぜなら、世界遺産に登録されている理由こそが、その土地が他の観光地とは一線を画す特別な「魅⼒」だからです。

世界遺産の登録理由は必ず事前にチェックしよう!!

それでは世界遺産に選ばれた理由や見どころを地域別に見て行きましょう。

北海道地方

知床(北海道)

知床

[世界遺産登録年]平成17年(2005年)
[区分]自然遺産

北海道東部に位置する「知床(しれとこ)」は、北半球における流氷の南限であり、土壌の豊かな栄養素や海中のプランクトンによって、多種多様な生物が生息・生育する地域です。また火山活動により形成された急峻な知床連山、切り立つ海岸断崖と周辺の海、湿原・湖沼群などにより構成されています。人の手が及ばない、生まれたままの大自然が見どころです

《世界遺産登録のポイント》
  • 海、川、陸へと繋がる独特の食物連鎖がある。
  • シマフクロウやシレトコスミレといった絶滅危惧種や希少な動植物が分布している。
  • 「知床世界自然遺産地域科学委員会」が設置され、世界遺産にふさわしい保護管理体制が整っている。

東北地方

平泉・中尊寺金色堂

平泉 ー仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群ー(岩手県)

[世界遺産登録年]平成23年(2011年)
[区分]文化遺産

平泉(ひらいずみ)は、日本の東北地方、岩手県南西部(古代の陸奥国磐井郡)にある古くからの地名で、現在の岩手県西磐井郡平泉町の中心部に位置します。

平安時代末期に栄えた奥州藤原氏の時代の寺院や遺跡群が残っており、5つの資産「中尊寺・毛越寺・観自在王院跡・無量光院跡・金鶏山」で構成されています。

《世界遺産登録のポイント》
  • 仏教の浄土思想に基づいて造られた寺院・庭園・遺跡が多く残っていること。
  • 独自性を持つ優れた地方文化を発展させていったこと。
  • 開発にさらされることなく当時の姿を保存していること。

白神山地(青森県、秋田県)

白神山地

[世界遺産登録年]平成5年(1993年)
[区分]自然遺産

青森県南西部と秋田県北西部にまたがる広大なブナ林にはさまざまな動植物が生息し、貴重な生態系が保たれています。

世界自然遺産に登録されているのは広大な山林の中心地であり、林道などの整備が全く行われていません。これらの地域は世界遺産登録時より開発を行わず、現状のまま保護されることになっています。また、今後も恒久的に整備されることはありません。

そのため世界遺産である中心地域を歩くことはできませんが、世界遺産登録地域外は自由に散策や登山をすることができるので、四季折々の多彩な自然散策が楽しめます。

《世界遺産登録のポイント》
  • 人の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が世界最大級の規模で分布していること。

関東地方

日光の社寺(栃木県)

日光東照宮

[世界遺産登録年]平成11年(1999年)
[区分]文化遺産

「日光の社寺」は、日光山内にある日光二荒山神社、日光東照宮、日光山輪王寺の103棟の建造物群と、これらの建造物群を取り巻く遺跡(文化的景観)が世界文化遺産として登録されています。

見どころはなんと言っても、徳川家康公の霊廟(れいびょう:死者や祖先の霊を祀る場所)として1617年に創建された日光東照宮です。社殿に施された豪華絢爛な彫刻や彩色は江戸時代の最高技術を結集したもので当時の建築装飾技術の高さを感じることができます。

《世界遺産登録のポイント》
  • 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
  • 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例であること。

小笠原諸島(東京都)

小笠原諸島

[世界遺産登録年]平成23年(2011年)
[区分]自然遺産

東京から約1000km南にある、30余りの島々の総称です。島が誕生して以来、大陸と陸続きになったことがないので、独自の進化を遂げた多くの希少固有種群が見られることが世界自然遺産として評価されました。東洋のガラパゴスとも呼ばれています。

「小笠原諸島」の中でも、無人島の聟(むこ)島列島、北硫黄島、南硫黄島、西之島と、父島列島、母島列島(有人の父島、母島の集落を除いた区域)、そして周辺海域の一部が世界遺産の区域に登録されています。

小笠原には空港がないので、交通手段はフェリーのみです。東京・竹芝桟橋から定期船が出航しているので、約24時間かけて父島の二見港に向かいます。日本の世界遺産の中でもアクセスが困難なこともあり、旅の意欲をそそられます。

《世界遺産登録のポイント》
  • 多くの固有種・希少種が生息・生育し、特異な生態系を形成していること。

富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)

富岡製糸場

[世界遺産登録年]平成26年(2014年)
[区分]文化遺産

技術革新により生糸の大量生産に成功し、世界中に安く品質の良い生糸を輸出したことによって日本の近代化への寄与と絹産業の国際的な技術交流や技術革新を果たしたとして、世界文化遺産に登録された富岡製糸場とその遺産群です。富岡製糸場、田島弥平旧宅、高山社跡、荒船風穴の4つの構成資産から形成されています。

建物はレトロなレンガ造りが印象的で創業当時のまま、ほぼ完全な状態で残っています。内部が見学できる他、解説員によるガイドツアーも行われています。

《世界遺産登録のポイント》
  • 日本の近代化だけでなく、世界の絹産業の技術革新にも貢献したこと。
  • 世界最大規模、抜群の生産能力を誇った工場がほぼ完全な形で残っていること。

ル・コルビュジエの建築作品 -近代建築運動への顕著な貢献ー(東京都)

国立西洋美術館

[世界遺産登録年]平成28年(2016年)
[区分]文化遺産

フランスを拠点に活躍した近代建築の巨匠、ル・コルビュジエが手掛けた建築作品群です。この世界遺産の特徴的なところは、7か国にわたる全17の建築群が構成資産になっている点で、世界遺産初の大陸を跨ぐ登録となっています。

そのうち日本では東京・上野にある「国立西洋美術館」が構成資産のひとつです。残念ながら2020年10月~2022年春(予定)まで館内施設整備のため全館休館中です。

《世界遺産登録のポイント》
  • 人類の創造的才能を表す傑作であること。
  • 合理性と機能性を追求したデザインが世界の近代建築や都市計画に大きな影響を与えたこと。

中部地方

白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜県、富山県)

白川郷

[世界遺産登録年]平成7年(1995年)
[区分]文化遺産

合掌造りと呼ばれる切妻構造のかやぶき屋根の家屋が特徴的で、まるで日本の原風景がそのまま広がっているかのようです。驚きなのは「合掌造り」の家が多く残るだけでなく、今でもそこで人々が暮らしているということです。「合掌造り」の建物には、中を見学できるものや宿泊できるものがあります。

《世界遺産登録のポイント》
  • 国内でも特異な伝統集落であり、稀少なものになっていること。
  • 住民同士が共同で家屋の維持に努めるなど相互扶助の営みが高く評価されたこと。

富士山 -信仰の対象と芸術の源泉ー(山梨県、静岡県)

富士山

[世界遺産登録年]平成25年(2013年)
[区分]文化遺産

古くからある富士山信仰の存在や、文学や絵画に描かれてきた日本人の芸術の源泉として大きな意味合いを持ちます。また古くから「霊峰」といわれ、人々の信仰を集めてきました。その登録エリアは山頂の信仰遺跡群から富士五湖、三保松原まで広範囲にわたり、25の構成資産から構成されています。

富士山の魅力は何と言ってもその景観です。周囲に遮る山がないのでどこから見ても美しい円錐が望めます。その美しさから国内だけではなく、海外からも多く観光客が訪れています。

《世界遺産登録のポイント》
  • 「富士山信仰」という山岳に対する文化的伝統を表す証拠であること。
  • 国内だけでなく西洋における数多くの芸術作品に多大な影響を与えたこと。
  • 日本及び日本の文化の象徴としての意味を持つ類い稀なる山岳であること。

近畿地方

法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)

法隆寺

[世界遺産登録年]平成5年(1993年)
[区分]文化遺産

日本初の世界遺産として認定された「法隆寺地域の仏教建造物」は、およそ1400年の歴史がある現存する世界最古の木造建築です。7世紀初めに聖徳太子によって創建された法隆寺の建物は、そのほとんどが国宝や重要文化財に指定されています。

奈良で観光と言えば、東大寺や春日大社など名所が集中する奈良公園周辺エリアですが、法隆寺は人気の観光エリアからは少し離れていてアクセスはやや不便です。

《世界遺産登録のポイント》
  • 世界最古といわれる木造建築の仏教建造物が美しいこと。
  • 大陸と日本の文化交流やこの時代の建築様式の変遷について知ることができること。

姫路城(兵庫県)

姫路城

[世界遺産登録年]平成5年(1993年)
[区分]文化遺産

法隆寺とともに日本初の世界遺産に登録されました。木造の建物に石造りの城壁と白色の土塀をめぐらせる日本独自の建築様式や意匠は、世界でも大変珍しく貴重です。天を舞う白鷺のように見えることから、白鷺城(はくろじょう・しらさぎじょう)とも呼ばれており、お城の中でも群を抜いた端正なたたずまいや設計美に多くのファンがいます。

2015年3月に総工事期間5年半に及ぶ「平成の大修理」が終わり、新たに姫路城は生まれ変わりました。大混雑は避けられませんが、桜の季節は美しい城と桜のコラボレーションも楽しめます。

高さ40mを超える5重6階建ての大天守に登ることができ、天守閣からの景色は圧巻です。

《世界遺産登録のポイント》
  • 日本の木造建築における最高の美的完成度であること。
  • 城郭建築最盛期を代表する城郭であること。
  • 防御に工夫した日本独自の構造であること。

古都京都の文化財(京都府、滋賀県)

清水寺

[世界遺産登録年]平成6年(1994年)
[区分]文化遺産

清水寺、平等院、延暦寺など、京都市、宇治市、大津市に点在する17の寺社や城郭で構成されています。京都は政治・経済・文化の中心地として1000年以上栄え、それぞれの時代様式が表れた文化財が多く残っています。それゆ日本を代表する観光名所として、国内外問わず多くの観光客が訪れています。

世界遺産は17の寺社や城郭で形成されていますが、それら一つひとつが非常に見応えがあるので何度でも訪れたい場所でもあります。

《世界遺産登録のポイント》
  • 平安時代から江⼾時代までを代表する⽇本の建築様式、庭園様式、⽂化的背景を今に伝えていること。
  • その後の⽇本の建築、造園、都市計画の発展に⼤きな影響を及ぼしたこと。

古都奈良の文化財(奈良県)

東大寺

[世界遺産登録年]平成10年(1998年)
[区分]文化遺産

東大寺、興福寺、春日大社、春日山原始林、元興寺、薬師寺、唐招提寺、平城宮跡の8つの資産で構成されています。

かつて日本の首都であった平城京の面影や、8世紀前半の天平期を中心に栄えた文化を天平文化の華やかさを今に伝える遺産です。これらの建築や美術品を通して、遣唐使・留学生・僧などが中国から伝えた文化の影響を受けた、貴族を中心とした仏教文化をうかがい知ることができます。

8つの資産は、奈良駅を中心にまとまって点在しているので観光もしやすいです。

《世界遺産登録のポイント》
  • 日本と中国、朝鮮半島との密接な文化交流の歴史を示していること。
  • 神道や仏教など日本の宗教文化の特徴を示し、今も継続されていること。

紀伊山地の霊場と参詣道(奈良県、和歌山県、三重県)

高野山

[世界遺産登録年]平成16年(2004年)
[区分]文化遺産

標高1000m~2000m級の山脈が縦横に走る紀伊山地は、豊かな雨水が深く険しい森林を育み、古くから神々が宿る聖域と考えられてきました。世界遺産に登録されたのは、和歌山・奈良・三重の3県にまたがる紀伊山地の「吉野・大峯」「熊野三山」「高野山」と呼ばれる霊場とそこへ至る参詣道です。

「紀伊山地の霊場と参詣道」は計41にも及ぶ多種多様な構成資産からなる世界遺産です。指定範囲が非常に広いエリアに及んでいるので、一度にすべてを回るのはことはできません。

《世界遺産登録のポイント》
  • 日本古来の自然崇拝に基づく神道と、中国大陸から渡来した仏教が融合した神仏習合の宗教観により形成された紀伊山地の景観は、東アジアにおける宗教文化の交流と発展を示していること。
  • 紀伊山地に残る建造物や遺跡、神聖な自然環境は、日本人独自の価値観と感性を物語る文化的景観を形成していること。

百舌鳥・古市古墳群 -古代日本の墳墓群ー(大阪府)

[世界遺産登録年]令和元年(2019年)
[区分]文化遺産

4世紀後半から5世紀後半にかけての古墳時代に築造された、当時の日本の王達の墓群です。大きさも種類も様々な形の古墳49基が構成資産となっています。

教科書などでよく出てくる仁徳(にんとく)天皇陵古墳は日本最大の古墳で、古墳群の中では最も有名です。百舌鳥エリアでは、堺市役所の21階展望ロビーが開放されていて上から古墳群を眺めることができます。

《世界遺産登録のポイント》
  • 日本古代の古墳時代の文化を代表し、墳墓によって権力を象徴した日本列島の人々の歴史を物語っていること。
  • 古墳群は土製建造物のたぐいまれな技術的到達点を表していること。

中国・四国地方

原爆ドーム(広島県)

原爆ドーム

[世界遺産登録年]平成8年(1996年)
[区分]文化遺産

太平洋戦争末期、広島に投下された原子爆弾の惨禍を今に伝える建造物で、「二度と同じ悲劇が起こらないように」という祈りや戒めを込めて世界遺産に登録されました。

また日本では負の世界遺産とも呼ばれています。負の世界遺産とは、世界遺産のうち、人類が犯した悲惨な出来事を伝え、そうした悲劇を二度と起こさないための戒めとなる物件を指します。分かりやすい例でいうと、ナチス・ドイツがユダヤ人を虐殺した強制収容所アウシュヴィッツなどです。

もとは広島産業奨励館という施設でしたが、「原爆ドーム」という呼び名は、建物の残骸から、市民の間から自然に呼ばれるようになったそうです。

広島平和記念資料館も原爆ドームと合わせて訪問必須です。目をそむけたくなる展示物が多数並べられて、何かしら自分の中に大きく響くものがあると思います。

《世界遺産登録のポイント》
  • 核兵器による惨状をそのままの形で今に伝える世界で唯一の建造物であること。
  • 核兵器廃絶と恒久平和の大切さを訴える平和記念碑であること。

厳島神社(広島県)

海に浮かぶ鳥居

[世界遺産登録年]平成8年(1996年)
[区分]文化遺産

海に立つ朱色の大鳥居が有名な景勝地で、日本三景の一つにも数えられています。古くから島そのものが信仰の対象とされていた広島県の宮島にあり、満潮時には床の近くまで海に浸かり、干潮時には高床式の柱が姿を現すというのも世界的に見ても非常に珍しい建物です。平清盛によって整えられた海上に立つ大規模な社殿は圧巻で、寝殿造を応用した神社建築が本当に美しいです。

厳島神社を見守るように背後にそびえたっている「弥山(みせん)原始林」も世界遺産の構成資産です。厳島の中央部にそびえる弥山は、古くから信仰の対象となっていたため手つかずの原生林が残されており、そうした自然との調和も世界遺産として評価されました。

残念ながら、嚴島神社の大鳥居は、1875年の建立から140年以上が経過し、損傷や老朽化が進んでいるため、現在大規模な保存修理工事が行われています。2019年6月から始まっていますが、2021年3月現在であと2~3年はかかる見込みだということです。神社への参拝は可能ですが、大鳥居全体が目の粗いネットで覆われた状態ですのでご注意ください。

《世界遺産登録のポイント》
  • 海上に建ち並ぶ建造物群と背後の自然とが一体となった景観は、人類の創造的才能を表す傑作であること。
  • 建造物の多くは13世紀に火災に見舞われたが、創建時の様式に忠実に再建され、平安時代、鎌倉時代の建築様式を今に伝えていること。

石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県)

石見銀山遺跡

[世界遺産登録年]平成19年(2007年)
[区分]文化遺産

16世紀から20世紀にかけて約400年にわたって繁栄した銀の鉱山です。当時は世界の銀産出量の3分の1を日本が占めており、石見銀山からも国内外に多くの良質な銀が輸出されました。

その石見銀山の鉱山・銀製錬の遺跡、鉱山町、銀を運ぶための港、そして町と港を結ぶ街道など、14の構成資産が世界遺産に登録されました。古い伝統的な銀産業の全体像を今でも残していて、情緒ある鉱山町の風情が楽しめます。

《世界遺産登録のポイント》
  • 石見銀山の銀は、その流通によりアジアだけでなくヨーヨッパ諸国との経済的、文化的交流をもたらしたこと。
  • 銀鉱山にかかわる遺跡は自然環境と一体となった文化的景観を形成し、自然と共生してきた土地利用が今に伝えられていること。

九州・沖縄地方

琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄県)

首里城

[世界遺産登録年]平成12年(2000年)
[区分]文化遺産

グスクとは、琉球の言葉で「城」を意味します。15世紀の琉球王国では中国、朝鮮、日本、東南アジア諸国との交易を通じて当時の日本とは異なった国際色豊かな独自の文化が形成されました。「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、その歴史と文化の特色をよく伝える9つの関連資産で構成されています。

王国の繁栄を今に伝えてきた首里城は、中国と日本の築城技術が融合した独特の建築だったため、非常に見応えがある世界遺産のひとつでしたが、残念ながら令和元年(2019年)の10月31日未明に火災が発生し、正殿と北殿、南殿が全焼してしまいました。

首里城が焼失したのは、1453年、1660年、1709年、1945年に次いで歴史上5度目となりますが、一刻も早く美しい城が再建されることを祈っています。

《世界遺産登録のポイント》
  • 数世紀もの間、琉球王国が東南アジア、中国、朝鮮半島、日本と経済的・文化的交流の中心となり、その文化を発展させてきたこと。
  • グスク跡は、先祖への崇拝と祈願を通して今も地域住民の心のよりどころになっていること。

屋久島(鹿児島県)

屋久島

[世界遺産登録年]平成5年(1993年)
[区分]自然遺産

鹿児島県本土から南へ約60km、東シナ海に浮かぶ屋久島は、白神山地とともに日本で初めて世界自然遺産に登録されました。樹齢数千年の屋久杉をはじめ、多くの固有種や絶滅危惧種を含む豊かな生態系と美しい自然景観が評価されています。

島の全面積の約21%が世界遺産登録地域で、中でも一番の見どころは片道約5~6時間かけてたどり着く縄文杉です。

《世界遺産登録のポイント》
  • 樹齢1000年を超える屋久杉を含む原生的な自然林が美しい自然景観を生み出していること。
  • 亜熱帯植物から亜寒帯植物が海岸線から山頂へと連続的に分布する植生の垂直分布が見られること。

明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県・山口県・岩手県・静岡県)

軍艦島

[世界遺産登録年]平成27年(2015年)
[区分]文化遺産

幕末から明治時代にかけて急速に発展し、日本の近代化に大きく貢献した3つの重工業(製鉄・製鋼、造船、石炭産業)を象徴する産業遺産です。便宜的に九州枠に置いていますが、8県に点在する23の資産から構成されています。またそのうち8資産が現在も稼働中という珍しい世界遺産です。

この世界遺産の中で絶大な人気を誇るのが、軍艦島の名で知られる長崎県の端島炭鉱です。最盛期には8万3600人/1㎢と世界一の人口密度を誇り、日本初の鉄筋コンクリート造の集合住宅も造られました。閉山後は一気に無人化し、まさに廃墟となっています。

現在は、その稀有な姿をガイド付きで楽しむ観光ツアーが人気です。その異質な雰囲気に圧倒されること間違いなしです。平成21年(2009年)4月22日から観光客が上陸・見学できるようになったものの、耐久性なども問題もあり今後いつまで上陸が許可されているか分かりません。上陸が禁止されてしまう前に、お早目の見学をおすすめします。

《世界遺産登録のポイント》
  • 九州、山口を中心に進められた日本の近代化は、西洋先進諸国からの積極的な技術導入によって進められ、それらの国との文化の交流がうかがわれること。
  • 鎖国状態にあったにもかかわらず、約50年間という短期間で飛躍的な経済的発展を成し遂げた産業遺産群は、その歴史上の重要な段階を物語る優れた科学技術の集合体であること。

「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県)

沖ノ島

[世界遺産登録年]平成29年(2017年)
[区分]文化遺産

沖ノ島は日本と朝鮮半島を結ぶ玄界灘に浮かび、古代から「神宿る島」として航海安全の祈りが捧げられてきました。沖ノ島を起源とする信仰を今に伝える宗像大社(むなかたたいしゃ)と、4〜9世紀の古代祭祀の変遷・祭祀を行った人々の古墳群からなる世界文化遺産です。

残念ながら沖ノ島は神聖な場所のため旅行客は上陸できませんが、海によって結ばれる沖津宮、中津宮、辺津宮という広大な空間で宗像三女神(伊勢神宮・天照大神の子神として誕生した三柱の女神)を祀っているので、これらを参拝することができます。

また大島には沖ノ島を遠くから拝むための沖津宮遙拝所(おきつみやようはいしょ)が設けられています。

《世界遺産登録のポイント》
  • 4世紀から 9世紀の間の東アジアにおける諸国家間の交流が伺われること。
  • 古代から現在まで発展し継承されてきた神聖な島を崇拝する文化的伝統が伝承されていること。

長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県・熊本県)

潜伏キリシタン関連遺産

[世界遺産登録年]平成30年(2018年)
[区分]文化遺産

長崎と天草地方の潜伏キリシタンの歴史と伝統を証明する12の資産群で、長崎県西部と五島列島、熊本県天草の2県6市2町にまたがって構成されています。

日本の江戸時代に江戸幕府が禁教令を布告してキリスト教を弾圧した後、250年もの長きにわたり沈黙を守って、神道や仏教など日本の伝統的宗教や一般社会と共生し信仰を続けた人々の歴史を今に伝えています

《世界遺産登録のポイント》
  • 江戸時代のキリスト教禁教政策の下で、密かに信仰を伝えた潜伏キリシタンにより育まれた独特な宗教的伝統を物語る証拠であること。

まとめ

皆さんの地域に世界遺産関連資産はどれくらいあったでしょうか。

日本に存在している世界遺産だけでもかなりの数に及びますし、その一つひとつが広大な地域であったり複数の資産で構成されていたりすると全ての世界遺産を訪れるのは難しいかもしれません。

世界遺産として登録されている場所は、その歴史的背景や文化価値から他の観光地とは一線を画しています。

登録された背景を理解して、過去の人類の英知に思いを馳せながら見学することをおすすめします。

以上、<都道府県別|旅行におすすめ!国内の世界遺産まとめ一覧!>という話題でした。

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