なぜ「小笠原諸島」は世界遺産?その理由を3行で分かりやすく解説!

小笠原諸島 日本の世界遺産

「世界遺産ってなんか堅苦しい」
「世界遺産のタイトルも抽象的だし何がすごいのか良く分からない」
「解説を読んでもポイントが良く分からない」

この記事はそんな方に向けて書いています。

様々なサイトで世界遺産については説明されていますが、どのサイトも難しいです。
それは情報量が多すぎて、事前知識がないと理解しづらいからです。

この記事では、国内23の世界遺産を制覇し年間50回以上国内を旅行する筆者が、簡単に理解したいという方のために世界遺産に登録された理由をたった3行で分かりやすくシンプルに解説します。

世界遺産に登録された理由を理解すると、旅先での見方は変わります。
それは世界遺産への登録理由こそが「他の観光地とは一線を画す」理由だからです。

世界遺産の概要を理解して、ぜひ現地に足を運んでみましょう。

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世界遺産「小笠原諸島」は30余りの島々からなる

小笠原諸島 父島

[登録年]:2011年
[所在地]:東京都小笠原村
[登録区分]:自然遺産
[アクセス]:
①東京・竹芝桟橋 ⇔ 父島:定期船で約24時間
②父島 ⇔ 母島:定期船で約2時間

東京のはるか南、海上約1000kmの太平洋上に散在する30余りの島々からなる地域が世界遺産に登録されています。

島で言えば、

  1. 聟島列島むこじまれっとう
  2. 父島列島の陸と周辺海域
    (陸は一部の地域を除く)
  3. 母島列島の陸と周辺海域
    (陸は一部の地域を除く)
  4. 北硫黄島
  5. 南硫黄島
  6. 西之島

の6つの島です。

小さな島々でありながら、小笠原諸島でしか見られない動植物(固有種)が数多く生息します。
また現在進行形の生物の進化を見ることが出来る世界的にも珍しい場所です。

《固有種とは??》
特定の地域にしか分布していない動植物の種類のこと

小笠原諸島が世界遺産に登録されている3つの理由

ポイント

小笠原諸島が世界遺産に登録されている3つの理由を紹介します。

世界遺産登録理由
  1. 一度も他の大陸と陸続きになったことがないため、小笠原諸島でしか見られない動植物が数多く生息するから
  2. 東アジア、日本本土、オセアニアの3方面からやってきた生物が独自の生態系を作っているから
  3. 生物たちの進化の過程を実感できるから

日本本土からはるか南に1,000kmも離れた「東京の島」

小笠原

小笠原諸島は、日本の本土から南に約1,000kmも離れた太平洋上にあります。

交通手段は東京・竹芝桟橋 ⇔ 父島を結ぶ定期船(6日に1便、片道24時間)しかなく、日本にある世界遺産の中では最も行きにくい場所だとされています。

聟島列島むこじまれっとう、父島列島、母島列島など大小30余りの島々が南北400kmにわたって連なっており、これまで一度も大陸と陸続きになったことがない「海洋島」です

《海洋島とは??》
過去に大陸と地続きになったことがない島。
代表的なものにハワイ諸島やガラパゴス諸島がある。
島の成因によって、「火山島」と「珊瑚島」に分けられるが、小笠原諸島は「火山島」である。

四方を海に隔てられた環境であるからこそ、動植物が様々な進化を遂げ、多くの固有種や生態系が誕生しました。

現在、人が住んでいるのは父島と母島だけです。
人口は3,000人ほどで、その大半は公務員と観光業に携わる人が占めています。

小笠原諸島は火山活動で生まれた「海洋島」である

海洋島

島の大きく分けて「海洋島」「大陸島」の2種類があり、小笠原諸島は「海洋島」に該当します。
小笠原諸島は、4,800万年前から始まった火山活動で、太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込むことによって誕生しました。

誕生してから一度も大陸と陸続きになったことがない、というのが小笠原諸島の大きな特徴です
四方の広大な海が生物の移動を妨げたため、大陸に存在する生物が小笠原諸島にいないのです。

また小笠原諸島は、地層や岩石などからその歴史を解明できる世界唯一の場所でもあり、特有の生態系のみならず、地層やそこに残された岩なども世界的に評価されています。

《大陸島とは??》
大陸の周辺にあり、過去にその大陸や本土と陸続きだったことのある島。
日本列島・屋久島・沖縄も大陸島で、かつては日本本土として陸続きだった。
このため生き物が自由に行き来でき、島になってからも生物の種類に独自性はあるものの、基本的には大陸と共通している。

世界でも小笠原諸島にしか存在しない生物が多い

化石

小笠原諸島は固有種の宝庫です。
海に隔てられた小笠原諸島に偶然やってきた動植物は、天敵がいない小さな島々で独自の進化を遂げてきました。

もしシカやヤギなどの草食動物、クマやオオカミといった肉食動物などの「捕食者」が小笠原諸島にいれば、弱い動植物は食べられてしまいます。
小笠原諸島ではこういった「捕食者」がいないことで、本来であれば食べられてしまう弱い動植物が独自の発達を遂げることが可能となったのです。

カタツムリ

なかでも特に小笠原諸島の生態系の特別さを示すのが、カタツムリ(陸産貝類りくさんかいるいと言います)です
動きが遅く自分の身を守る武器も持たないカタツムリは、他の地域ではすぐに食べられてしまいますが、捕食者のいない小笠原諸島では驚くべき発展を遂げてきました。

なんと小笠原諸島で記録された陸産貝類りくさんかいるい106種のうち、94%に当たる100種が固有種とされています。

その他、植物の約40%、昆虫の約30%が小笠原諸島の固有種です。

風、波、鳥に運ばれて小笠原諸島に生物がやってきた

生物を運ぶ3つのW

生物を小笠原諸島に運ぶ要因となったのは、3つのWです。

生物を運ぶ3つのWと
その割合
  • 風(Wind):16.1%
  • 波(Wave):15.6%
  • 鳥の翼(Wing):68.3%

どこからやってきたのかというと、台湾や沖縄を含む東アジア方面ミクロネシアやポリネシアなど南方(オセアニア方面)日本本土からやってきました。

小笠原諸島は現在進行形で生き物の進化が見える島

進化

同じ種類の生物が、環境に適した形や色へと変化していくことを「適応放散」といいます

小笠原諸島のなかでも同じ種類の生物が、島・地域・環境ごとに適応放散してきました。
その結果、さまざまな形態に変化し異なる種に分かれています。

島同士の距離が遠いために同じ種でも色・形が異なるのはもちろん、ひとつの島の中でも同じ種が異なる色・形に変化しているケースもあります。

このようにして、ひとつの動植物の進化の過程を現在進行形で目にすることができるのはとてもすごいことなのです。

小笠原諸島は海洋生物の貴重な繁殖地でもある

小笠原諸島 ジニービーチ

小笠原諸島は江戸時代までは無人島でした。

英語ではBonin(無人ぶにん)とも言われているため、小笠原諸島の透き通った海はボニンブルーとして親しまれています

アホウドリなどの海鳥やイルカやクジラ、ウミガメなどの海洋生物にとって重要な繁殖地になっています。

小笠原諸島を代表する生き物

小笠原諸島の環境破壊は進行している

外来種

小笠原諸島では敵がいないために繁殖できた動植物は極めて外来種に弱いので、ひとたび外来種が持ち込まれると簡単に駆逐されてしまいます。

現在確認されているだけでも、鳥類や陸産貝類の30種ほどが絶滅しました。
コウモリ・鳥類・海鳥・昆虫類・陸産貝類りくさんかいるい・植物など多くの種は今も壊滅的な打撃を受け、絶滅の危機に瀕しています。

陸産貝類りくさんかいるいのほとんどの在来種は天然記念物に指定され、これらの採集や捕獲は厳しく禁止されています。
このように自然を守るために徹底して保護していかなければならないのが現状です。

まとめ

「小笠原諸島」の紹介はいかがだったでしょうか。

簡単でもいいので世界遺産については絶対に登録理由を知ったほうがいいです。
それは世界遺産が「他の観光地とは一線を画す」からです。

この記事が、ちょっとでも目線が変わるお役に立てれば嬉しいです。

以上、<なぜ「小笠原諸島」は世界遺産?その理由を3行で分かりやすく解説!>という話題でした。

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