なぜ「国立西洋美術館」は世界遺産?その理由を3行で分かりやすく解説!

国立西洋美術館 日本の世界遺産

「世界遺産ってなんか堅苦しい」
「世界遺産のタイトルも抽象的だし何がすごいのか良く分からない」
「解説を読んでもポイントが良く分からない」

この記事はそんな方に向けて書いています。

様々なサイトで世界遺産については説明されていますが、どのサイトも難しいです。
それは情報量が多すぎて、事前知識がないと理解しづらいからです。

この記事では、国内23の世界遺産を制覇し年間50回以上国内を旅行する筆者が、簡単に理解したいという方のために世界遺産に登録された理由をたった3行で分かりやすくシンプルに解説します。

世界遺産に登録された理由を理解すると、旅先での見方は変わります。
それは世界遺産への登録理由こそが「他の観光地とは一線を画す」理由だからです。

世界遺産の概要を理解して、ぜひ現地に足を運んでみましょう。

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国立西洋美術館は偉大なる建築家ル・コルビュジエが唯一日本に建設した建造物

国立西洋美術館

[登録年]:2016年
[所在地]:東京都台東区上野
[登録区分]:文化遺産
[登録名称]:ル・コルビュジエの建築作品−近代建築運動への顕著な貢献−

ル・コルビュジエは世界各地で活躍した20世紀を代表する建築家です
ル・コルビュジエの建築物は70点ほど現存しており、ヨーロッパを中心に世界中に点在しています。

偉大な建築家であるル・コルビュジエが日本に建てた唯一の建物、それが国立西洋美術館です

世界遺産は、ル・コルビュジエ設計による建築物が全部で3大陸(アジア/ヨーロッパ/南アメリカ大陸)・7ヵ国・17資産にわたって登録されました。

大陸を跨ぎ世界遺産に登録されたのは本事例が初めてで、まさに世界遺産条約で謳われている「国と民族を超えて人間の宝を守ろう」という理念が実践されたことになります。

世界遺産の登録は、

  • フランス(10資産)
  • 日本(1資産)
  • ドイツ(1資産)
  • スイス(2資産)
  • ベルギー(1資産)
  • アルゼンチン(1資産)
  • インド(1資産)

となっています。

>>構成資産の詳細

国立西洋美術館が世界遺産に登録されている3つの理由

ポイント

国立西洋美術館が世界遺産に登録されている3つの理由を紹介します。

世界遺産登録理由
  1. 国立西洋美術館はル・コルビュジエがとなえた「近代建築の五原則」「無限成長美術館」のすぐれた例だったから
  2. 国立西洋美術館は7ヵ国にまたがるル・コルビュジエの建物のひとつで、世界をまたをかけた活躍を証明しているから
  3. ル・コルビュジエの設計は合理性と機能性を追求したデザインが世界の近代建築や都市計画に大きな影響を与えたから

《近代建築の五原則とは??》

  1. ピロティ
    (柱で支えられた開放的な空間)
  2. 屋上庭園
  3. 自由な平面
  4. 水平連続窓
  5. 自由な立面

の5つを指し、近代建築の礎となった。

《無限成長美術館とは??》
美術館の内装を渦巻きのように螺旋らせんに設計することで、美術作品が増えても必要に応じて外側へ増築して展示スペースを確保できる設計のこと。
ル・コルビュジエが命名した。

国境や民族を超えた文化財保護の成功例である

世界地図

ル・コルビュジエの建築作品は3大陸(アジア/ヨーロッパ/南アメリカ大陸)・7ヵ国に及んでいます。
ル・コルビュジエの活動拠点であったフランスが各国に呼びかけたことで、世界遺産に登録されることになりました。

大陸をまたぐ世界遺産登録は史上初であり、国境や民族を超えて文化財を保護していくことの成功例である言えます。

日本の世界遺産の中でも初めて海外と共同で登録されたものであり、東京23区初の世界遺産登録となりました。

国立西洋美術館はル・コルビュジエが夢見た理想の美術館

国立西洋美術館

ル・コルビュジエは世界各地で活躍した20世紀を代表する建築家です。
個人住宅、アパート、公共施設など様々な建造物を設計していきました。

国立西洋美術館の建設が決まってからル・コルビュジエは上野を8日間視察し、フランスに帰国してから設計を始めました。
その後は弟子の坂倉準三さかくらじゅんぞうが中心になって、ル・コルビュジエの図面を見ながら建設を進めました。

ル・コルビュジエは視察以降来日しなかったため国立西洋美術館の完成を目にしていません。

ル・コルビュジエは国立西洋美術館を自身が理想とする「無限成長美術館」にしようと考えました。
その名の通り、無限に成長していく美術館です。

国立西洋美術館の中に入ると、1階中央の「19世紀ホール」を出発点に展示室が巻貝のように螺旋形に伸びていることがわかります。

渦巻きのように螺旋らせんを描きながら延びている展示空間であれば、周囲に空間がある限り無限に展示室を増やすことができる、と考えたのです。

美術館は美術作品が増えれば増えるほど展示ができなくなってしまいますが、国立西洋美術館は美術作品が増えても必要に応じて外側へ増築して展示スペースを確保できる設計になっています。

ル・コルビュジエはこれを「無限成長美術館」と命名し、美術館の理想的な姿であると考えました。

《展示内容》

  • 14世紀以降のヨーロッパの絵画・彫刻を保管・展示
  • 所蔵作品5500点にのぼる
  • 西洋美術に関する研究も行っている

ル・コルビュジエが近代建築の父と呼ばれる理由

ル・コルビュジエは近代建築の父と評されています。

近代建築の5原則を提唱し、これまでの重たい石やレンガを使った古い建物では実現できない設計をしてきました。

《近代建築の5原則》

  1. ピロティ(柱で支えられた開放的な空間)
  2. 屋上庭園
  3. 自由な平面
  4. 水平連続窓
  5. 自由な立面

19世紀以前の建物は壁で支える建築が主流でしたが、19世紀以降のヨーロッパでは鉄・ガラス・コンクリートなどの建材が広まりました。
これらを効果的に建築に取り入れたのがル・コルビュジエだったのです。

鉄・ガラス・コンクリートなどの新しい素材を駆使することによって、採光を高めたり、眺めがいい空間にしたり、間仕切りがない解放的な空間にすることが可能になりました

現在のオシャレで洗礼された建築のデザインはル・コルビュジエによる影響が大きいのです。

このようにル・コルビュジエは現代の建築に大きく影響を与えています。

建築物を眺めた時に、どの部分がル・コルビュジエの影響を受けているのか考察してみるのも面白いのではないでしょうか。

まとめ

「国立西洋美術館」の紹介はいかがだったでしょうか。

簡単でもいいので世界遺産については絶対に登録理由を知ったほうがいいです。
それは世界遺産が「他の観光地とは一線を画す」からです。

この記事が、ちょっとでも目線が変わるお役に立てれば嬉しいです。

以上、<なぜ「国立西洋美術館」は世界遺産?その理由を3行で分かりやすく解説!>という話題でした。

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