これからカメラを始めようと思った時に、どのカメラメーカーを選んだらいいのか迷うと思います。カメラは高額ですし、一度購入したら長く付き合うことになるからこそ失敗したくないですよね。
カメラの性能は年々向上しているので、現在発売されているモデルであればどのメーカーのモデルを購入しても失敗することはありません。ただしカメラメーカーによって得意分野はそれぞれあるので、自分の用途にあったカメラメーカーを選ぶことが大切です。
カメラ選びに正解・不正解はありませんが、最後まで迷ってしまう場合はブランドイメージやデザインで決めてしまうのもいいかもしれません。
この記事では代表的なメーカーの違いを解説します。
日本のカメラメーカーは7社!世界のシェアは8割以上
カメラは開発や製造に高度な技術とコストを必要とする精密機械なので、新規企業の参入はほとんどありません。日本には長い間、技術を高め続けてきた7社のカメラメーカーが存在します。世界に目を向けても世界市場の1位から5位まですべて日本企業で、特に上位のCanon・SONY・Nikonだけで世界シェアの8割以上を占めています。日本のカメラは、海外でも圧倒的な人気を誇っているのです。
初心者がカメラ選びで重視すべきポイント
カメラメーカーによる違いやこだわりは様々ありますが、細かいことを検討していても購入するカメラはいつまでたっても決まりません。
私が思う初心者の方がカメラを購入する上で大事にすべき点は
・予算
・自分の用途に合ったカメラメーカーか
・好きなデザインか
だけです。どれだけ頭を悩ませても各メーカーの細かいスペックや色味の違いは分かりませんし、最初はこれだけ気にすればいいです。
家電量販店にあるテレビと同じで、陳列されているテレビを見ると隣のテレビの画質がいいなと感じますが、家でそのテレビだけを見ていると比較するものがないので画質の優劣は気になりません。
カメラメーカーによる色味の違いなども、経験を重ねたカメラマンがカメラを比較して初めて分かる領域です。これからカメラを購入する方にとってはそのような色味や細かいスペックなんかよりも、予算やデザインの方がよっぽど大事です(もちろん撮りたいものが正確に決まっている場合はその限りではありません)。
予算と好きなデザインはすぐに決まると思うので、自分の用途にあうカメラメーカーを選ぶうえでこの記事が参考になればと思います。
カメラメーカーの特徴を簡単に表現する
カメラメーカーをそれぞれ紹介する前に、各メーカーの特徴を簡単に表現してみようと思います。少しだけイメージを掴んだうえで各メーカーの説明を読んでみてください。
メーカー | 特徴 |
Canon | 王道中の王道であり初心者が購入するには絶対的な安心感がある ポートレートを撮影したい人におすすめ |
Nikon | スペックを求めたい人におすすめ 風景を撮影したい人におすすめ |
SONY | フルサイズミラーレスが欲しい人におすすめ ミラーレスの先駆者である |
Panasonic | 小型軽量なカメラが欲しい人におすすめ 動画撮影をメインにしたい人におすすめ |
富士フイルム | 芸術的に仕上げたい人におすすめ 撮って出しで勝負したい人におすすめ ボディがクラシックでおしゃれ |
オリンパス | 小型軽量なカメラが欲しい人におすすめ かわいいカメラが欲しい人におすすめ |
PENTAX | 独特の色味に惹かれる 防寒・防塵・防滴当たり前でとにかく頑丈 |
Canon
《ポイント》
- 一眼レフで最初の1台に選ぶなら間違いない
- EOS Kissシリーズの中古は安いのでとりあえずカメラを始めるのにおすすめ
- 人物を美しく撮れるのでポートレート撮影におすすめ
- ミラーレスは開発途上
一眼レフと言ったらCanonというほど圧倒的なシェアを誇り、Nikonと並んでカメラメーカーの二大巨頭です。初心者用モデルからプロ用モデルまで幅広い品揃えが特徴で、一眼レフを中心に展開し近年ミラーレスにも力を入れ始めています。
初心者用モデルのEOS Kissシリーズの中古はとくに安いので、とりあえず安く始めてみたいという方にもおすすめです。デザインは丸みを帯びたモデルが多く、私は角ばったカメラの方がスタイリッシュな印象を受けるのでCanonは選びませんでした。
Canonのカメラは肌の色が自然に出ることからポートレート撮影(人物撮影)に向いていると言われています。またCanonは記憶色(人間は見たモノの色を自分のイメージに重ねてより鮮やかな色合いに再現しようとする)を再現することをテーマとしており、この発色の良さも人気の理由となっています。
Nikon
《ポイント》
- 一眼レフで最初の1台に選ぶなら間違いない
- とにかく丈夫
- 風景を美しく撮れるので風景撮影におすすめ
- ミラーレスは開発途上
NikonはCanonと並ぶカメラメーカーの二大巨頭で、多くのユーザーに愛されています。初心者用モデルからプロ用モデルまで幅広い品揃えが特徴ですが、Nikonはより上級向けのモデルに力を入れており、D850というモデルは一眼レフの完成形とも言われています。
CanonにはEOS Kissのような初心者に特化したシリーズがありますが、Nikonには存在していません。D3000シリーズやD5000シリーズといったモデルがそれにあたるので初心者でも安心して使えますが、Canonと違うのは、初心者でも扱いやすいモデルでも上位モデルと共通の操作性を実現しており、プロでも使用できるモデルであるということです。Nikonでは各モデルの一貫した操作性を大切にしています。
また近年人気を集めているフルサイズミラーレスにも2018年から参入しています。ただし現時点ではNikonのミラーレスはボディ価格が高く、レンズの種類が少ないのでまだ開発途上と言えるでしょう。
Canonの記憶色にくらべ、Nikonは自然色と言われます。落ち着いた自然な発色が特徴的で、風景写真やスナップ写真を撮る人に向いているでしょう。
また自然を撮影するカメラマンの多くがNikonを選ぶ理由として挙げているのはその耐久性です。寒暖差が激しい極地での撮影や、衝撃に耐えられる堅牢さがNikonにはあり、非常に高い評価を受けています。
SONY
《ポイント》
- ミラーレスを買うならSONY
- デザインがスタイリッシュ
SONYのカメラ事業はコニカミノルタ株式会社の一部資産を買収したことから始まります。日本の電機メーカーであるコニカミノルタは2006年にカメラ事業から撤退します。SONYはコニカミノルタのデジタル一眼レフカメラの一部資産を取得し「αマウント」に準拠したデジタル一眼レフカメラの開発に乗り出しました。今人気の「αシリーズ」はこのような歴史からスタートしています。
CanonやNikonに比べればカメラ事業の後発メーカーでありながら、ミラーレスという分野では日本で1位のシェアを誇り確固たる地位を築きました。電機メーカーであるコニカミノルタを受け継いでカメラ事業を展開しているので、カメラを家電の一部として発展させ、アプリを通じてスマホとの連携を良くするなどガジェット感を売りに出しています。またコニカミノルタの技術を引き継いだAF機能でも圧倒的な強さを誇ります。
近年人気のフルサイズミラーレスの先駆者であり、ミラーレスを買うならSONYと言われるほどの人気です。カメラに使用されるセンサーの製造でも高い技術力を誇り、他社のカメラでもSONY製のセンサーを使用しているモデルが数多く存在します。
古くからのこだわりもなく他社に比べて柔軟な発想でスピーディーにモデルチェンジを行っているのも特徴です。
>>初心者は絶対にミラーレスを買うべき|ミラーレスと一眼レフのどっちを選ぶ?
Panasonic
《ポイント》
- 世界初のミラーレスを発売
- 小型軽量のモデルが多い
- 動画撮影に強い
Panasonicでは自社のカメラブランドを「LUMIX」と命名し発売しています。LUMIXはマイクロフォーサーズセンサーが採用された小型で高画質なモデルが大半を占めます。小型でも描写力の高いマイクロフォーサーズセンサーを搭載することでカメラ自体の小型化に成功し、特に手が小さめの女性を中心に人気を集めています。
近年人気が高いミラーレスですが、実は2008年に世界ではじめてPanasonicが発売しました。
その後もミラーレスの開発に力を入れており、初心者にはおすすめのラインアップが多いです。
PanasonicのLUMIXシリーズでは、ボディ内に手ブレ補正機構を搭載しているモデルが多くスローシャッターや動画撮影で威力を発揮します。手振れ補正は動画撮影をメインにしたいユーザーからも人気が高いです。
富士フイルム
《ポイント》
- フィルムシミュレーションを使った独自の色彩表現
富士フイルムはかつて使い捨てカメラ「写ルンです」を世に送り出したメーカーです。フィルム時代の技術力を活かした独自の色彩表現を作りこんでいるところにこだわりがあります。
撮影時はフィルムシミュレーションというフィルター機能が搭載されているので、RAW現像をしなくても撮って出しで色鮮やかな表現が可能です。
センサーサイズはAPS-Cか中版の二択でしか勝負しないところにもこだわりがあります。
オリンパス
《ポイント》
- コンパクトなカメラが欲しい人におすすめ
- デザインがかわいい
小型軽量・オシャレの代名詞であるオリンパスは女性受けがいいカメラメーカーです。マイクロフォーサーズセンサーを使っているので非常にコンパクトであり、一眼レフ=男性というイメージを払拭しています。
ラインアップもそこまで多くないので、数多くのモデルからカメラを選ぶというストレスもありません。とくに「PEN」シリーズはコンパクトでかわいらしいデザインで女性におすすめです。着せ替えもできるので自分好みのデザインにできます。
PENTAX
《ポイント》
- 独自のこだわりを追及
- 防寒・防塵・防滴あたりまえでとにかく頑丈
- サードパーティーとのレンズ互換性が低い
もともとPENTAXは日本の光学機器・ガラスメーカーであったHOYA株式会社が展開していたカメラブランドでしたが、2011年にリコーがHOYAのデジタルカメラ事業を買収してリコーの100%子会社になりました。
リコーは今でも「PENTAX」の名を消さずにPENTAXの一眼レフの技術と販路を取り込んでいます。伝統を受け継ぎ一眼レフのみのラインアップでミラーレスは開発していません。何をしても壊れない堅牢さと、ペンタブルーと呼ばれる青と緑の鮮やかさが特徴です。
徹底したこだわりからコアなファンを取り込んでいますが、こだわりが強いゆえにサードパーティーのレンズマウントとの互換性が少ないくレンズ交換を楽しみたい方にはおすすめしません。
まとめ
各メーカーごとの特徴の紹介はいかがだったでしょうか。それぞれ違いはあるものの各社ごとにカラーがあり面白いですよね。
これまで挙げた7社で選ぶのであればどれを選んでも性能的には申し分ありませんので、予算と用途にあった自分好みのカメラを選んでみてください。
以上、<初心者はどのカメラメーカーを選ぶべき?7社の違いを簡単に解説>という話題でした。