RAWがおすすめ|一眼レフの撮影はRAWとJPEGのどちらを選ぶ?

RAW撮影 初心者カメラ講座

一眼レフを始めてしばらくすると、スマホカメラで写真を撮っている人はおそらく知らないであろう「RAW」に出くわします。私も一眼レフを使い始めた頃は「RAW」の存在を全く知らずに写真を撮っていましたが、思い通りの写真が撮れませんでした。しかし、ある時「RAW」の存在を知ってからというもの、写真を撮るのが非常に楽しくなりました。

一眼レフの撮影データの保存形式には、「RAW」と「JPEG」の2種類のデータ形式があります。それを知らない方はこれを機に両者の特徴を抑えましょう。写真の表現の幅が大きく広がって写真を撮ることが楽しくなること間違いありません。

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RAW形式は生データ、JPEG形式は圧縮データ

まずざっくりとRAWJPEGの違いを抑えましょう。RAWとは写真の「生データ」「未加工」のことで、イメージセンサーが捉えた被写体の色の全てのデータのことを言います。一方でJPEGは静止画像のデジタルデータを圧縮する方式のひとつで、RAWをもとに圧縮されてサイズを小さくしたものです。

RAWとは色の全てのデータのこと

光の三原色

RAWが「生データ」ということをもう少し見て行きましょう。

光の三原色という言葉を聞いたことはありますでしょうか。光はすべてRGB(赤Red・緑Green・青Blue)で表現され、混ざると明るくなり白に近づいていきます。一眼レフはこの光の三原色を記録する装置です。光の三原色を使うことで約1600万色が再現できるので、RGB(赤Red・緑Green・青Blue)情報さえ記憶しておけば、これらを混ぜ合わせて出力することでどんな色情報でも再現できます。

たとえば風景や人物を撮影するとき、一眼レフは被写体の情報を光の三原色に分解してイメージセンサーに記録します。この加工していない色情報「RGB(赤Red・緑Green・青Blue)3色の情報」こそがRAWです。

どんな被写体であろうと、「RGB(赤Red・緑Green・青Blue)3色の情報」だけを記録しています。

JPEGとはRAWから作られた圧縮データ形式のこと

jpeg画像

JPEGは、Joint Photographic Experts Groupの略で、1992年にJPEG標準を定めた団体です。それ以降、JPEG形式はデジタル画像の撮影および共有時の標準的な方法となりました。オートフォーカスカメラ、スマートフォン、ガラケーのすべてがこの形式を採用しています。WEBブラウザで見ている写真もほとんどがJPEGです。

これまでお伝えしたRAWは光の三原色RGB(赤Red・緑Green・青Blue)しか情報がありません。しかし実際の被写体は黄・茶・黒・白など三原色以外にもたくさんの色を持っています。これらの色をどのように再現しているかというとRAWの三原色を使って実際の色に復元しているのです。この復元されたデータをJPEGといいます。

さらにRAW⇒JPEG生成時にに余分なRAWデータをごっそりと削除してファイルを軽くします。ですからJPEGはRAWから生成された圧縮データ形式というわけです。

またJPEGを生成することを現像と呼びます。一昔前のフィルムをイメージしてください。撮影した写真のネガを写真屋さんに持ち込んで現像してもらいましたよね。あれと同じことです(正確には異なりますがあくまでもイメージの話です)。

写真の保存形式はパソコンで現像する(RAW)か、一眼レフ内で現像するか(JPEG)の違い

現像処理

RAWはただの光の三原色の情報を集約したものなので、これを写真として見るためには現像という処理が必要です。現像とは光の三原色から見た目通りの色に復元する行為です。

一眼レフの保存形式でRAWを指定した場合は撮影時にはRAWを保存するのみです。そのまま写真としては見れないので、パソコンで現像してあげる必要があります(背面モニターで写真が確認できるのは保存されているRAWを再現するように一眼レフ内部で処理を行っているためで、他の端末で再現することはできません)。

現像を行うには専用のソフトが必要です。各カメラメーカーから無料で提供されている現像ソフトもあれば、Adobe社が販売するLightroomなども有料の現像ソフトもあります。これらの現像ソフトを使って、RAWをパソコンで現像してあげることで写真(JPEG)として見ることができます。

一方で、一眼レフの保存形式をJPEGに指定した場合は撮影時には一眼レフの内蔵エンジンでRAWを現像してJPEGとして保存されます

いずれにせよ最終的にはJPEGにしてあげる必要があるので、現像をパソコンで行うのか(RAW)、一眼レフで行うのか(JPEG)、ということに帰着します。撮った後に何もレタッチ(編集)せずに現像するようであれば、RAWとJPEGの保存形式に大きな違いはありません。

RAWのメリット・デメリット

RAWのメリット

RAWは多くのカメラマンに支持されています。RAWのメリット見て行きましょう。

RAWのメリット

  • 現像が楽しい
  • レタッチがしやすい
  • 極端に暗い/明るいシーンも復元できる

現像が楽しい

現像処理は自分の写真を思い通りに表現できる手法です。撮影時は思ったような撮影が出来ていなくても現像処理を施すことで非常に表現豊かな写真に変貌を遂げるケースも少なくありません。現像処理が楽しめるという点がRAWデータの大きなメリットです。

一眼レフを買ったのに「思ったより綺麗に撮れていない」という経験がある方もいるのではないでしょうか。その人はJPEGでしか撮影していないのではないかと思います。一眼レフの現像処理には限界があるのでJPEGにしてしまうとどうしても表現力が十分でないことがあります。

RAWで撮影し現像してみると逆光で撮った写真の黒つぶれを復元したり、白飛びを復元したりでき写真の表現力に驚かされます。一眼レフの凄さは光のデータを全て保存できるという点ですのでRAWを使わない理由がありません。

レタッチがしやすい

RAWは現像して初めて画像データ(JPEG)になります。現像は自分の思うままに色味を設定できるので、見た目通りの印象に仕上げることはもちろん、現実よりも暗めや明るめ、色の変更なども自由に表現することができます。この編集操作のことをレタッチといい、RAWで撮影するからこそ存分にレタッチすることができます。勘違いしてはいけないのは、レタッチは「加工」ではありません。あくまでも撮影時に保存した光のデータをどのように活かすのかを決めるだけです。

具体的なレタッチは、

  • 色の調整
  • 明るさの調整
  • コントラストの調整

で行います。

これ以外にも出来ることはたくさんありますが大まかにはこのようなことが出来ると思ってください。

色の調整では色の配合を決めます。RAWはイメージセンサーの各画素毎にRGBを保存しているので、どの色をどの程度混ぜるか選択することができ、それによって色味が変わってきます。配合割合を変えることで全体的に赤みがかった色合いにすることもできますし、青みがかった色合いにすることもできます。

また明るさやコントラストを調整しやすいのも特徴です。デジタルカメラの世界では「8ビット」「12ビット」という言葉を良く耳にします。このビットというのはどれくらいの階調(色のグラデーションのこと)で色を表現できるのかを示す数値となります。乱暴な言い方をすれば、8ビットであれば一番濃い色から薄い色までを8段階で、12ビットであれば一番濃い色から薄い色までを12段階で表す、ということです。

正確には

8ビットは、2の8乗なので2^8=2*2*2*2*2*2*2*2=256階調

12ビットは、2の12乗なので2^12=2*2*2*2*2*2*2*2*2*2*2*2=4,096階調

です。

JPEGではRGB(赤Red・緑Green・青Blue)をそれぞれ8ビットで表すので、256階調*256階調*256階調=16,777,216階調となり約1,677万色を再現できます。

一方RAWではRGBをそれぞれ12~14ビットで表すので、12ビットであればJPEGの16倍、14ビットであればJPEGの64倍の階調になります。

いかにRAWの階調が豊かかお分かりいただけると思います。これだけ豊かな階調を持っているからこそ、明るさやコントラストの変更が自由自在に行えるのです。

極端に暗い/明るいシーンも復元できる

一眼レフは人間の目ほど性能が良くありません。明暗差があるようなシーンは非常に苦手で、明暗を同時に綺麗に撮影することができないので、白飛びや黒つぶれという現象が起きることがあります。しかし、前述したようにRAWは豊富な色の情報を持っているので、白飛びや黒つぶれがあったとしてもかなりの範囲で復元することが可能です。

RAWのデメリット

続いてRAWのデメリットを見て行きます。

RAWのデメリット

  • 現像の手間がかかる
  • 現像ソフトの勉強が必要
  • ファイルサイズが大きい

現像の手間がかかる

これが一番大きな問題です。RAWで撮影した場合は、パソコンに取り込んで現像処理する必要があるのですぐに印刷したりSNSにアップしたりすることができません。私も撮影後1週間以上放置してしまうことも珍しくありません。

現像ソフトの勉強が必要

RAWを最大限活かすためには現像ソフトを使った現像が避けられません。そのためには現像ソフトの基本操作はもちろん、写真の露出やホワイトバランス、色相や輝度など様々なパラメータに対する理解を深める必要があります。時間を使って覚えることがたくさんありますので、これを楽しいと思えるかどうかでかなり変わってきます。

ファイルサイズが大きい

光の全データを保存しているので仕方がないですが、ファイルサイズが大きいことは大きなデメリットです。約2000万画素の一眼レフで撮影した場合、JPEGであれば5MB前後ですが、RAWデータであれば20MB以上にもなります。よってHDDの空き容量などが必要になりますし、バックアップの取り方も考えなければなりません。近年高画素機が人気を博していますが、パソコンの保存容量や現像処理に耐えうるスペックも必要になりますのでお気を付けください。

JPEGのメリット・デメリット

JPEGのメリット

JPEGがいたるところで使われている理由はいくつかあります。

JPEGのメリット

  • 撮影後すぐに使用できる
  • 連写に適している

撮影後すぐに使用できる

撮ったその場で、見る、印刷する、シェアすることが可能です。小難しい現像処理もすべて一眼レフが自動で行ってくれます。JPEGはRAWに見劣りするイメージがありますが、しっかり一眼レフで事前に撮影の設定をすることで高画質画像の撮影も可能です。JPEGで写真を撮っておけば、どんなデバイスやプログラムでも見ることができるので安心です。

連写に適している

高速で動く被写体やスポーツなどで連写する場合はJPEG撮影が適しています。RAWは画像データが大きいのでSDメモリーに書き込む際に時間がかかってしまうためです。シャッターチャンスを逃さないように、連写撮影ではJPEGを使いましょう。

JPEGのデメリット

JPEGのデメリットも見て行きましょう。

JPEGのデメリット

  • 情報の損失がある
  • 後から色を変えるのが大変

情報の損失がある

JPEGはファイルサイズを小さくし美しい描写で、すぐに共有できるという利便性を持っています。しかし、その際に画像を圧縮するので品質を多少犠牲にすることになります。

これまで説明してきたようにJPEGは一眼レフが捉える全ての色情報を保存しません。RAWほど多くの色を保存できないのでRAWと比べると陰影やトーンの再現が甘い場合があります。さらに、極端に明るい部分や暗い部分の画質も保持できません。

後から色を変えるのが大変

JPEGは画像としての最終形のファイル形式です。JPEGに出力された画像でもレタッチは可能ですが、JPEGはすでに色が復元されてしまっている状態ですので柔軟に色の調整ができません。

RAWは一眼レフの性能を向上させるものではない

カメラ性能

RAWは一眼レフの性能を向上させるものではありません。一眼レフというのは機種によって光を記録できる幅が決まっています。たとえば光が1~100段階まであるとしましょう。1~80段階までの領域しか記憶できない一眼レフAもあれば、1~100段階まで記憶できる一眼レフBもあるということです。これは一眼レフがもっているそもそもの性能の差によるものです。この一眼レフが記録できる光の強さの幅のことを、ダイナミックレンジといいRAWやJPEGは関係ありません。

一眼レフAを使ってJPEGで撮影した場合は、1~80段階ぶんの光を256階調で表現します。RAWで撮影した場合は、1~80段階ぶんを4,096階調で滑らかに表現します。

一眼レフBを使ってJPEGで撮影した場合は、1~100段階ぶんの光を256階調で表現します。RAWで撮影した場合は、1~100段階ぶんを4,096階調で滑らかに表現します。

よってRAWで撮影したからといって一眼レフの性能自体があがるわけではありません。

RAWは画像ソフトによって再現する色が異なる

色の再現度

パソコンでRAWを現像しようとしたら実際の見た目とは異なる色合いになっていることがあります。特にPhotoshopやLightroomといったサードパーティー製のソフトで開いたときに見られる現象です。

RAWは色が復元される前の生のデータなので画面上に再現する際に、各メーカーごとの違いができます。Canonの現像ソフトにはCanonの再現方法がありますし、SONYやNikon、Adobeにも同じことが言えます。RAWを現像するときはこのような特性があることにも注意しましょう。

RAWで撮影するのが一番おすすめ

どの形式で撮影すればいいのかについては人によって異なりますが、私はRAWで撮影することが多いです。RAWで撮影した後は一旦パソコンに取り込んで気に入ったものだけを現像するというスタイルにしています。

RAWは壊れやすいデータなので「RAW+JPEG」で撮影するという方もいますが、撮影時にJPEGを残しておくとあとで現像した時にまたJPEGが出来上がってファイルが多くなってしまうという欠点があります。また「撮影する時に設定を作りこんでJPEGで仕上げることこそ真のカメラマン」という方もいます。時間をかけて1枚の写真を撮影する場合はいいかもしれませんが、旅行や街中のスナップ写真などではそうはいきません。シャッターチャンスを逃さずに撮影することこそ正義だと思っています。

ただ最終的にRAWとJPEGのどちらがいいかは、写真を撮る目的、場所、条件などによって異なりますのでご自身の撮影スタイルに合わせて試行錯誤してみてください。

まとめ

RAWとJPEGの違いについてまとめてみました。結局の所、RAWとJPEGの画質面での一番の違いは「撮影後のレタッチ耐性があるかどうか」です。

初めて一眼レフを買った場合はJPEGの形式に設定されている場合がほとんどですので、試しにRAWで撮影してみてはいかがでしょうか。レタッチをすると表現の幅が広がり写真を撮ることがますます楽しくなると思います。

以上、「RAWがおすすめ|一眼レフの撮影はRAWとJPEGのどちらを選ぶ?」という話題でした。

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